第2日 8月9日(日)  午前:自由行動、午後:車でBrandys nad Labem市へ移動。
                           18時(日本時間8月10日午前1時)から、お城の中庭で野外
コンサート
                           終演後プラハへ戻り、
宴会



(1)プラハかけ歩き


 午前6時。プラハで15年ぶりに迎える朝、パンツ一丁(失礼!)の汗だく姿で目を覚ましました。テレビをつけると、天気予報で赤く塗られたヨーロッパ大陸が映し出されています。
 ヨーロッパの熱波は以前から慢性化しているようですが、特にわれわれが滞在したこの一週間は最も暑い時期に当たったようで、プラハの予報は37度、実際には場所によって40度に達したともいいます。
 本来夏の短いこの地域では、冷房するという発想は当たり前ではないらしく、ホテルの部屋や公共交通機関でもエアコンはないのが普通。例年なら、少々の暑さは窓を開けて風を通せば問題ないのですが・・・。われわれが来る前と帰った後は、気温20度台に落ちついていたということで、そういう意味でも特別な一週間なのでした。

 涼を求めて廊下に出てみれば、廊下の窓から望む、プラハの街。それも観光地ではなく、中心部からはずれた、集合住宅や小規模な商店などが並ぶ、市民の暮らす街です。
 前回泊まったホテルは、旧市街の観光エリアに接した立地でしたが、今回は夏の観光シーズンで部屋の確保がむつかしく、「プラハ10区」と呼ばれるやや郊外に落ち着くことに。その分徒歩圏内にはスーパーマーケットや個人商店も点在して、市民と同じ目線で日常の買い物を楽しむ、という楽しみも、後々生まれてきたのでした。

 朝食後は数グループに分かれて自由行動。その本隊はツアコンF氏率いる市内観光組で、私もまだ一人ではどこも行けないので、ついていきます。
 まずトラム-地下鉄-トラムと乗り継いで、丘の上に建つ「プラハ城」へ。そこからは徒歩で丘を下って「カレル橋」を渡り、「旧市街広場」を経て・・・と、有名な見所をざっと3キロ歩いて見て回ります。



●プラハ城

衛兵が直立不動の城門。
日本の国会議事堂前にも
こういう方いますね

盛装して城門へと向うカップル。
ここで何をするかといえば・・・

崖っぷちに立って記念撮影を
するのが流行っているらしい(汗)


これが何なんだとの説明は致しかね
ますが、雰囲気でお楽しみください(^^:)

高い山ではないが市街が一望できる

聖ヴィート大聖堂


記念に1枚。
(アリバイ証明ともいう)

市街中心部背後の丘にそびえる
プラハ城。中核をなす尖塔は
聖ヴィート大聖堂
 (後日撮影)



●城下へ下りてカレル橋へ

城下へと続く坂道

通りの両側は観光客相手の商店。
まだ9時半で人通りは少ない

「これこれ、鼻くそほじってちゃダメでしょ」
「ちっ。」


旧市街をめぐるツアー
1台貸切約6,000円
ブルダヴァ川西岸の中心、
マロストランスカー広場


1キロ強歩いて、人気スポットの
カレル橋まで下ってきた

カレル橋は、600年前(日本なら室町
時代)から現役
だそう(後日撮影)

対岸に見えるのはチェコフィルの本拠地、
ルドルフィヌム(「芸術家の家」)

日本で言えば大阪・道頓堀の
「戎橋」、といったところ

さっき降りてきたプラハ城が見える



●旧市街地区へ

カレル橋を渡りきったところ。
かなり観光客も増えてきた

旧市街広場に入ると、驚くほど
様々な人種が行きかう


旧市街広場名物の、
「旧市庁舎 天文時計」



広場の全景。中央は15世紀の宗教改革者、ヤン・フスの像

広場の一角に建つ聖ミクラーシュ教会。
3日後にはここでもコンサートを行う

古い建造物と石畳が続く。
捻挫に注意


街角のカフェの誘惑

スメタナ・ホール1Fのレストランで休憩。
ここからトラムでいったんホテルへ



(2)Brandys城(Zamek Brandys nad Labem)に到着

 今日はプラハ到着翌日ながら、いきなり本番。(本番前に炎天下を3キロ歩き回るのも変っちゃあ変ですが)
18時から、チェコトランペット教会と地元自治体の主催による、プラハの北西約20キロの地方都市Brandys nad Labem(「ラべ川のほとりのブランディース」のような意味)にある古城でのコンサートです。
 Zamek Brandys nad Labem(Brandys城)は、各地に点在する城とともに重要な観光資源であり、コンサートなどの文化行事や歴史イベントなどの舞台としても継続的に活用されているようです。

    お城のオフィシャルサイト: http://www.brandyszamek.cz/

    地元自治体のオフィシャルサイト: http://www.brandysko.cz/

 主催者の手配してくれた車に分乗してホテルから小1時間、15時に城へ到着。
外の猛暑がウソのように涼しい半地下の控室に通されると、壁面や天井に一面の装飾画が。ボヘミア王国全盛の14世紀以来の歴史を思わせる迫力に、いきなり圧倒されます。
 一服後、城内を見学。「英語でガイドをするのは、今日が初めてです」とはにかむ案内役のお嬢さんは、どうやら我々のために英語を猛勉強されたご様子。
 この城は長い歴史の間、当主が変わるたびに壁画の塗り替えや改築がされたようで、修復のために壁を削ると、下から古い時代の壁画が現れたりするとのこと。美術品や銃刀類その他のコレクションから、城郭そのものの変遷の名残まで、約1時間じっくりと拝見しました。


●Zamek Brandys nad Labem(Brandys城)の写真  ※全景は上のリンク(オフィシャルサイト)で。

ワゴンで移動中。
エアコンついてません!


土壁と石畳だけで素寒貧とした
中世っぽい風情がただよう


城の入り口は案外小じんまり

中庭に出ると荘厳な空間が

すでに客席もスタンバイOK

へぇーここでやるんかあ、と
まだ実感が湧かない面々

控え室もこの雰囲気。
もう言葉出ません


微妙にヘタウマな感もありますが



●城の内部

なんだかやんごとなき方々


軍服のコレクション


この国が持つ複雑な過去を
思い起こさせられます



軍隊の先頭には、
音楽があった

軍刀ほか武器類の数々。
中央がガイドさん



それにしてもえらい数です

なぜか鹿の角コーナー

この部分の天井と梁は数百年前の
オリジナルが見える形で保存


(3)リハーサル

 演奏時間も迫ってきて、セッティングとリハーサル。
 高い城郭で「ロの字」型に囲まれた中庭なので、聴衆の位置にすべての反射音が集中し、屋外ながら音が散るどころか、体全体が音に包まれるような素晴らしい演奏効果です。

 しかし壁を背にした演奏者どうしの感覚は逆で、周囲の音が薄く感じられて聞き取りがむつかしい。多少セッティングを密集させるなどの対策はしましたが、「まあ今日は初日だし、リハーサルのつもりで、思い切りで乗り切りましょう」、ということで本番を迎えました。
   リハーサル(左)の合間に、テレビの取材を受けるF氏(右)。
いったい何語で何をしゃべったのか、自分でも覚えていないらしい
(写真:田中敬子さん)


(4)Antonin Kellerさんのこと

 本番前、控室に、もとプラハ交響楽団トロンボーンのAntonin Kellerさんが訪ねてきてくれました。
 彼は今年1月に引退しましたが、昔日本公演で大阪に来た際、F氏から頼まれて、趣味の釣り道具のショップを案内したことがありました。当時の彼は英語が通じず、コミュニケーションにはかなり苦労しましたが・・・。
 その後F氏から、「Tonda(彼の愛称)が、タカシは元気か、よろしく伝えてくれ、と常々気にかけてくれている」ときいていたところ、今回の訪問を前に、突然Facebookで友達リクエストが届き、音信が復活。今回10数年ぶりでの再会となりました。
 彼は今回のチェコ国内3回すべてのコンサートに駆けつけてくれ、帰国後も名残を惜しんでくれました。
 彼が日本にくることはもうないでしょう。いまは好きなジャズと、春と秋のシーズンにはブルダヴァ川での釣りを楽しんでいるとのこと。これからのご健康を願って止みません。
《追記》 もう来られることはない、と思っていたKellerさんですが、なんと5ヵ月後の2016年1月、プラハ交響楽団のツアーメンバーの一員として来日され、西宮での演奏会で再会することができました。


(5)いよいよ本番

 当日はなんと入場料100コルナ(500円)をいただくことに。入場口では、先ほど英語で案内してくれたガイド嬢がモギリに陣取ってくれています。現地のサポートのおかげで、立派なポスターやプラグラムも用意されています。
 会場にドリンク販売の屋台は出るわ、地元テレビ局のカメラは来るわという想定外の盛り上がりの中、用意された客席もほぼ埋まっていよいよ定刻。ピッコロ2本が前に出て、「トランペット・ヴォランタリー」でスタートしました。
 途中休憩後の2部の冒頭で、プログラムの印刷内容の訂正についてS氏がチェコ語でアナウンスすると、これが拍手喝采の大ウケで雰囲気は一気になごやかに。未知の日本のアマチュア団体に(アマチュアだとわかっていたのかどうかも怪しいが)、最後まで熱心な反応をいただいたお客様に感謝です。



●プログラムと録音    ※屋外のため風の音が入ります
■第1部

1. トランペット・
    ヴォランタリー

2. テルプシコーレ組曲
  ・Entree
  ・Ballet du Roy
  ・Volte
  ・Courante de Perichou
  ・La Bouree
  ・La Pavane
  ・Courante Finare

3. カプリオール組曲
  ・Basse-dance
  ・Pavane
  ・Tordion
  ・Blansles
  ・Pieds-en-l'air
  ・Mattachins    

■第2部

プログラム訂正をアナウンス
  (チェコ語で大ウケ

1. The music of Jim Parker
  ・Ground Force
  ・The Midsomer Murders
  ・Soldier , Soldier

2. ロンドン・ブラスシリーズより
  ・I'm Getting Married
     in the Morning
  ・A Nightingale Sang
     in Barkley Square

  ・On the Sunny Side
     of the Street


3. 日本の音楽から
  ・もののけ姫
  ・いつも何度でも
  ・君をのせて

4. チェコの愛唱歌から
  ・Aby nas Pan Buh miloval
  ・Coz se mne , ma mila ,
     hezka zdas

  ・Dona bleska



  ●コンサートの写真 

これから入場します

これはなんだ
たぶん2部の出番前

終わったなー、って感じ

3匹のおっさんの図。
この後車でプラハへ戻って宴会です

  《当日の詳しい記事と写真を、地元メディア「PROSTOR」でご覧ください。》


      トップページ:http://www.novinyprostor.cz    ※直リンクはトップページのみにしています。

      記事:http://www.novinyprostor.cz/clanek/osakan-brass-ensemble-zazaril-na-brandyskem-zamku

      写真:http://www.novinyprostor.cz/fotogalerie/album/275?photoId=6758




(C) KIXLOCAL(Takashi Kishi) all rights reserved, 2015 .  


kakko