近鉄名古屋駅に到着後は、名古屋フェリーターミナルの最寄となる野跡(のせき)駅まで「あおなみ線」(名古屋臨海高速鉄道
西名古屋港線)に乗った。
乗るには乗ったが、その道中をあえて一本の記事として仕立てるかどうか迷っていた矢先、YAHOO!のニュースの見出しに
次のような一文が載った。
「名古屋駅、『迷駅』脱却なるか リニア開業向け改造は?」 (2014年8月2日(土)、朝日新聞デジタル)。
直リンクは控えるので興味のある方は記事を検索していただきたいが、要旨としては、2027年のリニア中央新幹線開業に向け、
この10月にもJR東海の工事が始まろうかという中で、JRや会社線あわせて9路線が乗り入れる名古屋駅構内の、複雑な動線に
よる各線乗り継ぎの不便さが改めてクローズアップされている、というようなものだった。
名古屋駅を地元では「名駅(めいえき)」と呼ぶ。(駅の住所も、ずばり「名古屋市中村区名駅」だ。)記事の見出しは、これを
もじって「迷路のような駅」と茶化しているわけだが、近鉄からあおなみ線への乗り継ぎは、その「迷路」の最右翼といえるだろう。
同線のホームページには「乗り換えのご案内(名古屋駅)」のページがあって、市営地下鉄、JR新幹線、JR在来線、名鉄、近鉄の各線からの乗り継ぎ経路が掲載されている。開いてみると、EXCELを使った手作り感いっぱいの見取り図が現れる。私はそれを見た瞬間、これはてこずるぞ、と覚悟した。とにかく「わからない」のだ。東西南北の二次元情報は大きく狂いようも無いが、どこが階段になっていて、図中のどのエリアが何階に相当するのか、という三次元情報が特につかみにくい。
ソクラテスのいった「無知の知」ではないが、「これは現地に行ってみないとわからない」ということだけは、わかった。図が手作りだから悪い、ということではない。これがなければもっと困ったことになっていただろうし、何も無いよりははるかにありがたいのだが、要は駅構内が迷路だからこうなるのである。いろんな意味で一見の価値があると思っている。ぜひアクセスしてみていただきたい。
迷路の果てにたどり着いた改札口から階上へ上がると、JR在来線と新幹線にはさまれたホームに出る。貨物線を旅客線に活用したという経歴は、ネットで検索すればいくらでも書かれているのでここでは略す。
運転士はじっと前方を見て発車に備えているが、やおら列車無線のマイクをとって「発車3分前、どうぞ。」と言った。そんなことを運転士側から報告するルールがあるのか。これに応じた列車指令の声は女性であった。
夕方のラッシュには時間があるが、それでもぽつぽつと集まってきた客を乗せて16時30分、4両編成が動き出す。地味な旅立ちだが、久々に初乗りのゾクゾク感を味わう。
発車後すぐに在来線を乗り越えると、さっき近鉄の車窓から見た広大なJRのヤードのど真ん中に出て「ささしまライブ」。
しばらくJRと並走後、左(南)へ分かれて「小本」。
コキ(コンテナ貨車)がたむろするヤードに接して「荒子」、「南荒子」と続く。
名古屋貨物ターミナル駅を眺めながら「中島」。貨物線との並走はここで終わり。
単独の高架となって進むうち、未完成に終わった「南方貨物線」の高架が廃墟のように左手へ別れて「名古屋競馬場前」。
駅前のイオンモールが異彩を放っているのは「荒子川公園」。
次の「稲永」で2/3の客が降り、車内はますます寂れる。
トラックターミナルや高層住宅が増えて「野崎」。車両基地もここにある。いかにも埋立地的な風景と土地利用の仕方である。
終点の「金城ふ頭」わずか1駅を残して、16時50分着の「野跡」で下車した。この1区間の完乗のために再訪することがあるか
どうかは、わからない。
あおなみ線の西側には新幹線ホーム |
そして東側は在来線 |
全駅にホームドアつき |
平日の夕方ラッシュ前とはいえこののどかさ |
海風を防ぐガラス壁に囲まれた野跡駅 |
次の終着・金城ふ頭をめざして走り去る |
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kakko