越前国徘徊録・三国編 まえがき (May.7,2006)   えちぜん鉄道
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同行二人

 2005年3月4日(金)から6日(日)にかけて、別掲の通りの行程で福井県下をあちこちまわった。同行は20数年来の友人のM君で、彼との交友の発端は学生時代からの趣味の音楽つながりなのだが、ここ数年、彼の鉄分が急激にその鉱脈を現してきた。奈良出身で地元の近鉄のことには詳しいな、という程度の長年の認識だったのが、最近では突然「いま名松線に乗りにきてます」と携帯メールをよこすなど、行動レベルで地金が露見するようになった。
 私は2003年1月に越前大野を訪れ、地元の粉を使った蕎麦に舌鼓を打ってきた(「青春18残り福・九頭竜の旅」ご参照)が、「あの蕎麦をいっぺんキミにも食べてもらって、うまいと思うかどうか聞かせてくれんか」と私から持ちかけた。彼はうまいものにもうるさい。
 こうして春の青春18シーズンを利用しての福井行きとなったが、思えば鉄を主成分としての彼との旅行は今回が初めてである。(今回は蕎麦の話がきっかけだから、鉄分以外にルチンも含んではいるが。)
 1日休みをとっての2泊3日と、珍しく気合が入った行程なので見所はいろいろある。回を分けて順次ご紹介することとして、今回の「三国編」は、その第一巻にして最大のハイライトである(いきなり)。

 ■第1日(2005年3月4日・金)
  自宅〜(北陸線経由)〜福井(市内泊)
 ■第2日( 〃 3月5日・土)

  福井〜(越美北線、一部区間代行
バス)〜越前大野
   〜(路線バス)〜福井〜(えちぜん鉄道)〜三国〜(徒歩探索)
   〜三国港〜あわら湯のまち(芦原温泉泊)
 ■第3日( 〃 3月6日・日)
  あわら湯のまち〜(路線バス)〜東尋坊〜(路線バス)
   〜三国港〜(えちぜん鉄道)〜田原町〜(福井鉄道)
   〜武生新〜(北陸・湖西線にて帰阪)
図1−1



三国をめぐる鉄道の変遷

 現在の三国かいわいの鉄道路線は右図のようになっているが、ここに至るまでの鉄道史については、市販の廃線関係の書籍やネット上の各種サイトで詳しいので、ここではそれらを元に略年表と図でまとめておく。
図1−2


 〔1〕1911年(M44)12月15日
   ・
三国線 金津(現・芦原温泉)〜三国(8.7km)が鉄道院により開業 
図1−3
 〔2〕1913年(T2) 1月1日
   ・荷扱
所として三国港まで延長(1.1km)
    (1914年(T3) 7月1日 三国港駅に昇格)
    (1927年(S2) 12月15日 通年旅客営業開始)
図1−4
 〔3〕1928年(S3)12月30日
   ・三国芦原電鉄 福井口〜芦原(現・あわら湯のまち)間が開業
図1−5
 〔4〕1929年(S4)1月31日
   ・芦原〜三国町(のち電車三国に改称)間が開業
図1−6
 〔5〕1932年(S7)5月28日
   ・電車三国〜東尋坊口間が開業。
    (1942年(S17)9月1日 京福電気鉄道に合併)

図1−7
 〔6〕1944年(S19)1月8日
   ・京福電気鉄道電車三国〜東尋坊口間休止
図1−8
 〔7〕1944年(S19)10月11日
   ・三国線 金津〜三国港9.8kmが休止
   ・同日、三国〜三国港間に京福電気鉄道が乗入れ開始

   
(電車三国駅は三国駅に統合)
図1−9
 〔8〕1946年(S21)8月15日
   ・三国線 金津〜芦原4.5kmが営業再開
図1−10
 〔9〕1968年(S43)3月21日
   ・京福電気鉄道電車三国〜東尋坊口間廃止
図1−11
 〔10〕1972年(S47)3月1日
   ・三国線 金津〜芦原4.5kmを廃止。
     (休止中の芦原〜三国港間5.3kmも同時に廃止)
   ・京福電気鉄道芦原駅は芦原湯町駅に改称

図1−12
なおこれ以降、2001年の列車事故による京福電気鉄道 福井口〜三国港間・福井〜勝山間・東古市〜永平寺間全線営業休止、2002年の東古市〜永平寺間廃止を経て、2003年に現在のえちぜん鉄道へ福井口〜三国港間・福井〜勝山間が営業譲渡されたことは周知のとおりである。

 今回は上記の略年表〔6〕の部分で休止となった、電車三国〜東尋坊口間の跡を探索してみた。この区間については、私がネットで検索した限りでは同種の探索記録はまったくヒットしない。ひょっとしたら本邦初の快挙(?)なのかも知れない、と勝手に自負している。
 ただし、次章以降をお読み頂く前にお断りせねばならないが、結論から言ってほとんどなぁ〜んにも残ってはいなかった。鉄ちゃんの中年男二人の単なる珍道中、といってしまえばそれまでなのだが、調べ尽くされた有名な廃線スポットを後追いするよりも、オリジナリティという点では意義のあることかもしれない。推測「本邦初」、ということに免じてご笑覧をお願いしたい。

(C)Takashi Kishi 2006
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