西日本パスでゆ
九州鉄道修行
1泊3日 







  2009年11月

 JR西日本・四国・九州の各線で使える「西日本パス」が大好評で、今年のお盆期間中の乗客を高速道路利用のマイカー組から奪還するのにも、相当貢献したらしい。
 そのパスを使って九州へ行こう、と同志のM君からメールが来たのは、いまだ残暑厳しい8月の末(2009年)のことだった。10月の三連休を使ってとことん乗りまくるので同行されたし、という。このパスの使用には、2名以上で同一行程をとること、という条件がついている。
 きっぷは3日間普通車利用の場合で20,000円だが、食費・宿泊費・諸経費を含めると、ざっと40,000円の出費になる。関西から九州まで3日間で40,000円なら、個人旅行としては確かに安いのだが、それでも私は「気楽なことをいってくれるなあ」と、正直とまどった。
 何しろ目前の9月の三連休には、毎年恒例の「ブラスアンサンブルフェスティバル」がある。今年は山形県酒田市での開催で、これにも5万円近くの出費がかさむ。これはラッパ仲間でもあるM君とて状況は同じなのだが、私としては今春から長男も大学に進学して何かと物入りな当世、ラッパと鉄道の道楽に、あわせて10万円近い小遣いを続けざまに投じられるほど、呑気に暮らせる身分ではないのである。 ・・・本来ならば。


 しかし、そんな私の小市民的経済観念は、M君から矢継ぎ早にメールで送られてきた行程案を見た瞬間、あっけなく崩壊した。そこには、阿蘇と肥薩線のスイッチバックにループ線、そして門司港・・・と、どれも私にとって語りつくせぬ(どうせ後で語るが)思い出の地の数々が、見事に網羅されていた。
 さすがに「やっぱり行くわ」とあっさり白旗を掲げるのはバツが悪かったので、「スケジュールはあけておくよ」と、婉曲に、かつ分かりやすく返信しておくことにした。
 それから数日をかけて細部を検討した結果、下図のような行程が出来上がり、出発のきっかり1ヶ月前にはパスの購入と指定券(8回まで指定席が利用できる)の予約を済ませた。
 旅は計画している時が一番楽しいのであって、切符の手配まで済ませてしまうと一段落の感がある。私はこの記事に載せるための下図のデータをコツコツと描いたりしながら、出発の日を待った。
■2009年10月10日(土)
 (1)スーパーくろしお2号
 
(2)のぞみ97号
 (3)かもめ15号
 (4)かもめ26号
 
(5)シーサイドライナー
 
(6)みどり20号
 (7)リレーつばめ19号
 (8)リレーつばめ18号
 
(9)こだま820号
 
(10)普通列車
 (11)普通列車
 
(12)のぞみ49号
 
(13)ドリームにちりん                
(天王寺→新大阪)
(新大阪→博多)
(博多→長崎)
(長崎→諫早)
(諫早→佐世保)
(佐世保→鳥栖)
(鳥栖→熊本)
(熊本→博多)
(博多→小倉)
(小倉→門司港)
(門司港→小倉)
(小倉→博多)
(博多→宮崎空港)
■2009年10月11日(日)
 (14)普通列車
 (15)にちりん4号
 (16)きりしま3号
 (17)つばめ4号
 
(18)九州横断特急1号
 
(19)いさぶろう3号
 (20)しんぺい4号

 (21)九州横断特急8号
 
(22)ソニック49号
(宮崎空港→南宮崎)
(南宮崎→宮崎)
(宮崎→鹿児島中央)
(鹿児島中央→新八代)
(新八代→人吉)
(人吉→吉松)
(吉松→人吉)
(人吉→別府)
(別府→大分)  
■2009年10月12日(祝)
 (23)九州横断特急1号
 (24)リレーつばめ44号
 
(25)ひかり566号
 (26)スーパーくろしお25号
(大分→新八代)
(新八代→博多)
(博多→新大阪)
(新大阪→天王寺)

 順を追って説明するのも疲れるくらいのスケジュールになってしまったので、要点を数字でまとめてみた。
  ●乗車する列車 : 26本 ※天王寺(大阪府)を起点・終点として。以下同じ。
       (このうち初日が13本、2日目が9本、3日目が4本。後半疲れてくるほど本数が控えめなのは年の功?)

  ●乗車時間 : 38時間18分
  ●乗継時間 : 19時間59分 ※宿泊地でのホテル滞在時間を含む
       (つまり合計約60時間の旅行期間中、ほぼ40時間は列車の中)

  ●乗車距離 : 3,361.6km。天王寺〜小倉間往復を除いた九州島内だけでも約2,200km (ただし運賃計算キロベース)
       (東京〜下関間約1,100kmに対して、全行程なら1往復半、九州島内だけでも1往復)

  ●通る回数の多い駅ランキング : 1位=小倉(5回)  2位=博多・鳥栖・熊本(4回)  3位=大分・新八代・南宮崎(3回)
  ●最長乗車時間 : 7時間43分 (1日目の夜、「ドリームにちりん」 博多〜宮崎空港)
  ●最短乗車時間 : 3分 (2日目の朝、「にちりん4号」 南宮崎〜宮崎)
  ●最長乗継時間 : 1時間36分 (1日目の夜、門司港にて普通列車同士の乗継)
                    ※2日目の宿泊地・大分での滞在時間は除く。

  ●最短乗継時間 : 3分 (初日の午後、鳥栖にて「みどり20号」から「リレーつばめ19号」への乗継)

 とりあえずどうしても言っておきたい事はこれで終わりで、以上をざっと斜め読みしていただいて「何となくスゴイということだけはわかったよ」、とおっしゃって下さればそれで本望。ここから先は、アホな中年男2人がどう壊れていくのかいかないのか、不毛な記録に足を踏み入れることになるので、ご覚悟が必要かと思われる。
 読んでいるうちに、この2人が今どこをどう旅しているのかわからなくなるといけないので(というか必ずわからなくなるので)、ここから先は別窓で開くことにする。迷子になったら、このページの地図と表で確認して、しっかりついてきていただけますように・・・。
= 続行意思認証 =


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