近鉄八王子線・ナローの足跡 第2回 (Feb.13,2007) | |
テキストのみの一括ダウンロードはこちら |
■ナローの車輛たち 内部線・八王子線の乗り場は、湯の山線の高架ホームの真下にあるが、上下ホームを結ぶエレベーターや連絡階段などはない。それどころか改札をいったん出て、東西の目抜き通りを連絡通路で渡ってから入り直す構造になっていて、改札出口には「内部・西日野方面へは直進して改札を出ろ」という趣旨の案内表示がある(右写真)。 確かにこの表示で正しいのだが、初めての人は「えっ本当に出ちゃっていいの?!」と戸惑うだろう。例えば西日野までの「通し」の切符を持った人が、素直に直進して自動改札に切符を突っ込んでしまったら、そのまま回収されてしまってアウト、てなことにはならないのだろうか。 もっとも本稿はそういう疑問を解明する場ではないので、気にしないことにして筆を先に進める。ちなみに私は、3日間乗り放題の「新春全線フリーパス」を持っているから有人改札を通る。 |
表情がユニークな先頭車 バスのような先頭車の車内 全席ロングシートの中間車 |
軒下のような1面2線のホームには、内部行きの3連が待っていた。先頭車の妻面には大きな1枚窓や前照灯・尾灯がスッキリと配され、ヨーロッパ的なデザインでしゃれているが、車体幅が狭い馬面なのでキリギリスのように見えなくもない。左写真の261号車は、Wikipediaによれば昭和57年の新造車ということで、車歴25年とはいうもののデザインは近代のそれである。対する中間車は、ウインドシル・ウインドヘッダーもいかめしい古強者で、屋根の高さも先頭車より高くなっている。 データイムの内部線・八王子線の発車時刻は、内部行きが毎時0分・30分発、西日野行きが13分・43分発ときれいにパターン化されていて、ダイヤグラムに描いてみたら極めて明快、かつ退屈な図が出来上がりそうだ。どうせなら西日野行きも、毎時15分・45分発、とキリのいい時刻にしてもらいたいが、分岐駅である日永での交換待ちなどの事情もあるのだろう。 今停車しているのは内部行きだが、とりあえずこれで日永まで行き、後続の西日野行きを待つことにした。ナローの旅が今回の目玉のひとつでありながら、四日市からの乗車区間は赤堀〜日永〜西日野とわずか3駅、実乗車時間は10分に満たない。途中駅で降りてみるくらいのことはしなければ間が持たないのである。 こうして、「とりあえず」行ってみた日永駅ではあったが、これがなかなかに掘り出し物で、我々の旅心と鉄心を多いに満足させてくれたのだった。 |
(C)Takashi Kishi 2007 |
|