豊後水道往復 2社乗り比べの旅 - 2

宇和島運輸フェリー

《あかつき丸》で新造船の魅力を発見  

2016年9月18日 別府⇒八幡浜

■大分到着早々のチョンボ

 神戸からの「さんふらわあ ぱーる」で、定刻7時20分に大分上陸。これから別府9時45分発の宇和島運輸フェリーで八幡浜へ渡る(右図の
(2)のだが、到着早々やらかしてしまった。最寄りのJR日豊本線「西大分駅」まで約10分歩き、7時51分発の列車で別府7時59分着・・・と計画していたのだが、ターミナル前で待ち受ける「大分駅」行きのバスに、ついうっかり乗ってしまった。
大分入港時の連絡バスの案内放送を聞いて、ボケ始めた頭が「これは乗り遅れては大変」、と反応してしまったのだ。
 
別府へ行くのに、西大分ではなく大分へ行ってしまっては方向が間逆である。結局、別府観光港には予定から20分強遅れの8時45分に到着した。幸い、まだ時間の余裕はたっぷりある。



  
来るはずじゃなかった大分駅。
新幹線とは無関係でも立派な構え



大分駅の随所には鶏の像が。
大分名物が「鶏のから揚げ」で
あることとはたぶん無関係


別府湾に沿って移動。
並走する国道10号線は、2月開催の
「別大毎日マラソン」のコースでもある


今年の熊本地震による観光客減
からの復調を急いでいる別府

■第3埠頭の陰と陽

 まずは「さんふらわあ」の発着する第3埠頭を眺める。今朝の大分入港時に、はるか沖合いを通り過ぎていった「さんふらわあ あいぼり」が、7時45分到着後の下船作業も一段落してまったりと停泊している。
 南北方向に2隻、東西方向に1隻の接岸が可能な第3埠頭。いま定期航路はこの大阪行きのみだが、かつて「くれない丸」をはじめとする客船や、1日3便ものフェリー群で賑わった関西汽船全盛期の遺構が色濃く残っている。





第3埠頭の遠景。東西方向に接岸する
船舶用の赤い可動橋も現存

(第2埠頭側から撮影)


かつて多くの観光客が行きかった
長い通路が今も残る

第3埠頭の過去と今とを結ぶ回廊


華麗な客船が訪れたこの岸壁に
賑わいが戻ることはあるのだろうか


■宇和島運輸に乗ります


 第3埠頭で遠い目などしているうちに、八幡浜からの「あかつき丸」がしずしずと入港してきた。定刻は9時10分着だが、10分ほど早着のペースだ。
 2014年就航の新鋭船は、スマートな船体と流線型のようなファンネルがスピード感をかもし出している。巧みな操船で接岸するのを見届ける。

 第2埠頭のターミナルでは、
数えるほどの乗客が発船を待っていた。海を渡って試合に赴く体育会系の学生たち。地味なスーツ姿の老人。一人たたずむ若い女性は誰に会いに行くのか、それとも誰と別れてきたのか。このあかつき丸が運ぶのは、華やいだ観光のにおいではない。一衣帯水、ひとつの水路を越えて彼岸へと渡らなければならないそれぞれの営みである。
 



ゆっくりと接近する「あかつき丸」


港内でいったん停止


ヘッドを右へ向けてから・・・

後退しつつ第2埠頭に接岸します



上部車両甲板はオープンデッキ。
なのでおしりは小さいです



設備の整ったターミナル。
うどん食べたかった・・・

華やかな往時が偲ばれる航路図。
意地でも手直ししないんだろうな


左半券は乗船時にもぎられる。
右半券は上陸券だが回収はされず

発船20分前から搭乗です


混雑時に列を迂回させる構造。
役立つことはあるのだろうか

2階デッキの乗船口までは階段で。

それがまた徒歩で昇るには高い高い・・・




手を振る先は家族か友人か・・・
船出ならではの風情ですね

こちらは深々と一礼の係員さん。
別府を訪れた人への感謝でしょうか



湯煙の町・別府を一度は離れるが・・・

今夜舞い戻って、こちらの
「さんふらわあ あいぼり」に乗船する


■船内設備 《2階の巻》


さまざまな設備が充実した新鋭船を、乗船してさっそくひと回り。






@ まずは乗下船口からスタート

A 中型船ながら
   開放感のあるメインロビー



B ロビーの一角には
   ゆったりしたいす席が


C 空いていた2等客室
   しらじらしく寝てみました



D-1 トイレはもちろん温水洗浄式

D-2 非常に快適です



D-3 清潔感があふれております

そうこうするうちにも
船は進んでおります

E-1 ロビー後方の案内所兼売店
    毛布の貸し出しもあります

E-2 その隣にはうどんコーナー。
    売店で注文し、ここで受け取る



E-3 「うどん・カレー専用席」で
    ゆっくり食べられます

E-4 「天ぷらうどん」を頼むと、
    海老天ではなく「じゃこ天」が。
    この土地ならではの味です

F うどん席に接して
   自販機コーナー



G-1 キッズコーナーがあります
    靴の収納棚も芸が細かい!

G-2 その並びにゲームコーナー

H 後方の車両甲板は
   オープンデッキ


■船内設備 《3階の巻》


続いての3階は、上級船室がメイン。






@ メイン階段を上がると
    落ち着いた雰囲気


A こちらにもいす席。


B 3階の2等客室は
   さらに空いてました


C 前方は上級客室ゾーン。
   特等1室、1等6室




D 3階後方の展望デッキ

さらに上階の航海甲板にも広々とした展望デッキが(2枚合成)


■バリアフリーと省エネ対策

 最新の船らしくバリアフリーと省エネへの配慮も。乗客の目に触れるところをスナップ。


     《バリアフリー》


身障者車両の駐車位置は
客室の最寄の区画が確保される

下部の車両甲板からは
車椅子昇降機で2階へ



     《省エネ(LED照明)》

舷側


展望デッキ階段(蛍光灯型)

展望デッキ

乗組員居住区の軒下(電球型)


■遊覧気分で八幡浜にアプローチ


 新しいもの=冷たさを感じさせると思いがちだが、あかつき丸は設計思想の新しさと内装やソフト面での温かさを両立しており、居心地がよい。ほとんど客席にいつくことなく、船内を探索し、海を眺め、うどんを食べていると退屈もしない。
 やがて四国側の佐田岬が見えてくる。九州側の関崎(佐賀関)との距離は13キロ強しかないので、出航して別府湾を出たと思ったらすぐ四国に足を踏み入れたような感覚になるが、3時間弱の航海の後半は長い長い佐田岬半島と並走するので、すぐ八幡浜に着きそうでなかなか着かない。

 急峻な尾根が海面から立ち上がって延々と連なる半島を遊覧船気分で眺めること1時間余、旅の折返し点である八幡浜に到着した。




海上のあちこちに雨のカーテンが
大分入港時には回復傾向に見えたが
相変わらず雲行きがあやしい



佐田岬(左端)を通過して
四国エリアに入りました



どこまでも続くかと思われる
佐田岬半島




めざす八幡浜はこの陸地の最奥部

正午過ぎ、反航する船が接近


八幡浜11時45分発、臼杵行きの
僚船「おおいた」でした


行く手の雨のカーテンへ
突っ込んでいく「おおいた」



当日の運用ダイヤ(部分)。
11時20分過ぎには「えひめ」とも
すれ違っていたはずですが、
その時間はうどんを食べてましたw
(EXCELで描図)




湾口が狭くなり、
いよいよ到着が近づいてきました



八幡浜港に入港。これから乗る
「おれんじ四国」がスタンバイ



12時25分、ほぼ定時に到着

慎重に接岸を指揮する船長

下船口はそこそこの賑わい。
こんなに乗ってたかなあ・・・




皆さんお疲れ様でした
どこへ行かれるのでしょうね


どこへも行かずに、またこのまま
船に乗っちゃう、なんてのは私だけ

何はともあれ、いい船でした
(C) KIXLOCAL(Takashi Kishi) all rights reserved, 2016 . 第1レッグ「さんふらわあ ぱーる」へ


kakko